オッサンが夏ハゼ釣りで使っている仕掛けは、毎回変わらずでハリス3cmの胴突きミャク釣り仕掛け。
胴突き仕掛けとは、一番下にオモリが位置し、針&ハリスはその上に配置される布陣で、エサは底から少し浮く事になる。
通常ハゼは底に這いつくばるようにいるもんだから、ソレを釣るとなると針が一番下に来る仕掛けが一般的な形態になる。
まぁそうではあるんだけど、諸般の事情により胴突き仕掛けの方が釣れると思うし、慣れもあるもんだから釣りやすいと思ってる。
気分転換にウキを使った他の仕掛けで遊んだりするけど、イマイチ痺れもないもんだから、いつもの仕掛けに戻ってくる。
しかし、釣れるとはいうもののマンネリ化は否めない。
そんなオッサンの心を見透かしてか、親しい釣り仲間からは「つまんなそうに釣りしてる」とか「単純な機械作業してるみたい」とか言われたりすることもある。
いや、別に…、つまらないとかじゃなくて…
普通にハゼ釣りに勤しんでるだけですが、私が何か間違っているとでも?
しかるべきポイントに仕掛けを落とすと自動的にハゼが喰ってくるもんだからこ〜なってるだけで…
んじゃ〜なんですか!?
楽しい釣りとは「やったー!釣れたよぉ〜」とか「ちくしょー!バラしたぁ!!」とか事あるたびにライブパフォーマンスすりゃ〜ええんか?
50も過ぎたオッサンがひとりでそんな事やってたら通報されるよ、マジで。
でもたまにいるよね、ブツブツ言いながら釣りしてる人って。
まぁそんなブツブツは放っておいて、ハゼ釣りにおける新鮮味は薄味になり倦怠感があるのは確かである。
しかし、若い頃は濃厚な味じゃないと満足できなかったが、歳をとると薄味が分かりソレが沁みるようになってくる。
そんなあっさりフレーバーなハゼ釣りを楽しんでいた時、釣り好きの友人からダウンショットリグ(以下「DS」と表記)仕掛けの話を聞いた。
最近ではテトラポットの隙間とかでカサゴやメバルを狙うのに、根掛かり回避で使われるこの仕掛け。
この話を聞いた時に「ソレってハゼの穴釣りでも使えるじゃん!」とオッサンの頭上にLED電球がペカ〜っと光った。
んで記憶がまだ新鮮な内にDSのハゼ釣りVer.を作ってみた。そのときの記事はこちら↓↓↓「2020年シーズンのハゼ釣りでやり残したこと」
まだ実戦では試してないけど、よくよく考えるといくつかの問題点が浮かび上がってきた。
そのうちのひとつがハリ交換の時はどうしよう?だった。
ハゼが釣れる時は一回の釣行で5回くらいはハリ交換する時もあるし、夏ハゼでは滅多にないけど根掛りロストもあり得る。
勇み足で作ったDS仕掛けでは、小さなヨリモドシを付けてソレにハリスを接続する形だったけど、そうなるとチェンジするのが面倒くさい。
とは言え、ハリスにスナップ付きのヨリモドシをつければワンタッチで交換できるけど、オッサンはいろんなパーツを付けるのは好きではない。
できる限りシンプルな方が僅かなアタリを捉えられるからだ。
ゴテゴテいろんなパーツを付けると、ソレがクッションとなり極小のアタリが分からなくなる。
3分ほど長考して出した答えがハリス止めを使う作戦だった。
小物釣りでよく使われるハリス止め。
もちろんハゼ釣りでもお馴染みのパーツだけど、一般的なハリス止めってヨリモドシとオモリを兼ねるブツが多い。
オモリってもせいぜい小さなガン玉程度なんだけど、オッサンにはソレすらも許せない重量である。
ごく一般的なハリス止めの形。こんなんでもアタリが鈍くなるぞぃ
まぁここまでムキになることもないんだけど、気の持ちようで、釣れない時なんかに道具のせいにしたくないじゃん?
「こんなハリス止め付けてっから釣れねぇ〜んだよ!」って…
ハリス止めには引っ掛け部しかない商品もあるにはあるが、小さくて少ないくせに結構な値段するんですよね〜
さらにはモノがモノだけに、何度も使いまわしするとハリスがスルン!って抜けそうな気もするし…
なのでハリス止めって奴ぁ〜、基本的にひと釣行の使い捨てになるんだろうと思う。
使い捨てのパーツにオッサンが身を粉にして手に入れた銭を浪費するわけにもいかん!
っという訳で、いつものように自作に走るオッサンなのでした。
その昔、ハリス止めをホッチキス針で作ったのを何かのサイトで見たことがあった。
その記憶を頼りにググってみたらやっぱりあった!
普通のホッチキスの針を曲げて作ったハリス止め。
これなら大量にお安く作れるし、何よりも軽量なのでアタリの邪魔をしづらいという気もする。
しかし問題は「こんな細いホッチキス針なんぞでハゼ釣りに耐えられるの?」だった。
確かにハゼも小物ですよ!
特にハゼ釣りシーズン序盤なんて7〜8cm程度の小粒揃いですよ。
しかし、中には10cm以上のも混ざるし、今回考えてる仕掛けは一番下にオモリが来るから、その重さ+上げ下げに耐えられる強度が求められる。
試しに普通のホッチキス針でひとつ作り、強度テストばりに引っ張ってみたら簡単に伸びてしまった。
う〜ん、ホッチキス針ではだめな気がする…
そこで、仕事で使うタッカーの針で作ってみたら、そこそこいけそうなのが出来た!
タッカーとは木工や建築用のホッチキスみたいなもの。
強度は大したことないんだけど、いろんなものを素早く簡単に固定できる便利なアイテムです。
最近では100均でも売ってたりするので、知名度は上がりましたね。
まぁ、100均のはおもちゃみたいなもんですけど…
ちなみに”ホッチキス”って発明者の名称らしいが、正式名称は『ステープラ』。
地方によっては『ガチャンコ』とか『ジョイント』、日本のホッチキスの最大手マックス株式会社にちなんで『マックス』と呼ぶ事もあるようです。
まぁ、そんな少数派では通じないだろうからやはりホッチキスだろうて。
っという訳で、普通のホッチキス針ではなく、より強い針ならハゼ釣りに使えるハリス止めができるんじゃまいか!?の方向で行動開始。
取り揃えたのは、普通のホッチキス針サイズだけどステンレス製の針と大型のホッチキス用の針。
一流メーカーのMAX社製でございます
ステンレス製なら通常の針よりも強度があるし、ステンレスだから水にも強い。
っても、使うとしたら毎回使い捨てになるんだけどさ。
大型ホッチキス用の針は先述のタッカー用の針と同じようなサイズ。※タッカー針にはいつくかサイズがあります。
左が大型用で真ん中がステンレス製、右が普通のホッチキス針
ではハリス止めの製作開始!見やすいので大型針にて。
カッターでひとつずつ外す
普通のペンチを削って作った”チドリペンチ1号”にて加工します。たぶんラジオペンチでもできると思う。
けっこう活躍するチドリペンチ1号。2号はまだ無い
片方をつまんで
グルン!と回転
ここまでしか出来ないので
開いた隙間を塞ぐ
道糸を通す輪っか部分完成
お次はハリスの引っ掛け部を作ります。
最初にちょっと角度を付けておく(最初にやっておくと後が楽ちん)
ハリスを引っ掛けやすいように角度を付ける
キュッ!っと潰して隙間を無くす
隙間が無くなれば良いのでギュ!!じゃなくてキュッ!程度で
最後に先端部をもう一度キュッ!と潰す
完成じゃ!!簡単カンタン
おひとつ1〜2分もあれば出来ます。
参考にしたサイトではハリを外すのに空打ちしてたけど、できる限り金属疲労を避けたいのでオッサンはカッターで外しました。
まぁモノ自体は簡単に作れるんだけど、問題は『実釣に耐えられるの?』ですよね。
そこで強度実験をしてみました。
用意したのは、
タコ釣りで使ってる釣り用スケール
鉄アレイ(別に鉄アレイじゃなくてもいいんだけど…)
フロロカーボンライン。まずは1号(4lb)を使ってみたが…
ちなみにこの商品は使い終わった時にアタリが出たらもう一本!らしいが、3cmのハリスに使ってるだけだから使い終わるのに何十年かかるのかは謎である。
アタリを見るのはいつになるやら…
あとはスナップ付きヨリモドシとかS字フックとか。
テストはこんな感じで、ハリス止めにラインを噛まし、下は鉄アレイに固定しスケールを上に引っ張り上げて測定。
こんな感じのがさつなテスト
まずは大型針からやってみたんだけど、グ〜っと引っ張り上げたらいきなりラインブレイク!
マジか!?スケールの数字を見る隙も無かったぞ!
逆に考えれば、このハリス止めは1号ラインよりも強いじゃん!と心強いが、これじゃ〜テストにならないじゃんかよ!
っという訳で、ラインを1.5号にパワーアップ。
これならちょっとは耐えてくれるだろうて
お次は弱い順からテストすることにする。
普通のホッチキス針製をセットし、グ〜っと引っ張り上げる。
強度の判定は、ハリス止めが変形し始めたポイント。
しかし、このスケールは数値がしっかり止まらないと数字をロックしてくれないので、このテスト法には不向きである。
かと言って、他に方法も思い当たらないもんだからコレでやるしかない。
デジタル表示とハリス止めの両方を凝視しながらの孤独な作業。
ハリス止めが変形した時点での数値を確認
一度だけ数字がロックされたけど、それ以外は一瞬で読み取るしかない
1.5号ラインならさすがの大型針も変形した
今回のテストは通常針、ステンレス針、大型針でそれぞれ5回ずつ測定。
実験後の哀れな姿…。変形したのは全て輪っかの部分
普通のホッチキス針製:約0.7kg普通サイズのステンレス針製:約1kg大型ホッチキス針:約2.7kgという結果になりました。
んがしかし、やってから気づいたんだけど、いったい何kg耐えられれば良いのかサッパリ分からない。
そもそも一流メーカー製のハリス止めにも強度は明言されていない。
ヨリモドシとかには強度は明記してあるのに、ハリス止めには無いのだ。
まぁハリス止めという商品を鑑みるに、ハリスを引っ掛ける強さとか使い手によって大きく強度が変わるんだろうから、一概に何kgまで耐えられまっせ〜っと明記できないんだと思う。
だから玉虫色にしてあるんだろうて。
しかしこちとらもお客様商売。
いやぁ〜サッパリですぜ、旦那!では今回のネタのオチが付かないので、今まで何千匹〜何万匹のハゼを釣ったヒューマン・タッチで言わせてもらうと、大型針製は冬の穴釣りサイズにも耐えられると思う。
ステンレス製も10cmくらいの夏ハゼサイズには耐えてくれると思うが、予想外の15cmオーバークラスでは厳しいかな…
いずれにしても一回の釣行をハリス止めひとつではもたないと思うので、根掛り無しに考えても複数個は必要になると思う。
とは言え、こんなオッサンの適当な経験値では何の信用もないので、とりあえずは一般的な基準値をば。
オッサンがいつも使っているハリスは、夏ハゼ釣りでは0.6号で冬の穴釣りでは1号を使っている。
「一般社団法人 日本釣用品工業会」という怪しい外郭団体によるナイロン・フロロカーボン糸の強度基準によると、0.6号=1.089kgで1号=1.814kgらしい。
こう考えると、今回の実験結果から夏ハゼ釣りにはステンレス針製のハリス止め、冬の穴釣りでは大型針製のハリス止めは実釣に耐えられる強度を持っていると思われます。
残念ながら普通のホッチキス針はハゼ釣りには向かないかな…どうだろ…
しかし、今までいろんなネタをやってきた経験から言わせてもらえば、大体が1回きりのネタで終わるんだよね〜
結局はいつものスタンダードな仕掛けが一番!というオチも見えているんですが、こんなしょうもない記事を最後までご覧いただいていたあなた。
貴重なお時間を浪費してしまった事に深くお詫び申し上げるとともに、せめてミジンコ程度でもあなたの何かの足しにでも慣れば本望でございます。