寒く厳しかったハゼの穴釣りも終わり、次のテナガエビ釣りが始まる4月下旬くらいまでは、休日はな〜んもやることがない。
そんな休日は朝寝坊を貪りながら、モサ〜っと無気力に時間を持て余している。
まだ2月いっぱいくらいまでは「ず〜っとハゼ釣りばっかで朝が早かったから、たまにはゆっくりするのも良いやね〜」と贅沢気分でいたんだけど、3月くらいになるとその贅沢な時間にも飽きてくる。
そしていやらしいことに、春は無意味に人の背中を押す季節でもある。
まだ朝晩は寒いけど、昼間はポカポカ陽気となるこの季節。
梅や早咲きの桜が花を咲かせ、鳥は心地良くさえずり、飼い犬のうん◯が路上に増えてくる朗らかな季節。
花粉症が本番を迎えるアンニュイな時候でもあるが、動植物だけでなく、人間様もウキウキして活動的になってくる。
オッサンもご多分に漏れずそんな感じで、ソワソワと落ち着かない。
「そろそろ頃合いかな…」
そう思い立つと、しばらく眠っていた愛車をハゼ釣り場へ向けて漕ぎ出すオッサン。
釣れないハゼ釣り行くのではないんだけれど、釣り場へと向かう。
なしか?(どうして?)
実は釣り場のゴミ拾いやら、釣り場を釣りやすい環境に整えに行ってるんです。
釣り場とは、釣りをするだけにあらず!
その環境を保全しないと使いものにならなくなる。
コレは釣り場だけではなく、山でも海でも公園でも、誰かしらが環境を整えているから、利用する人が楽しく気持ちよく使えるのである。
まぁ、オッサンの場合はそんなたいそうな大義名分ではなく、単に自分が気持ちよく使いたいからなんだけどサ!
やっぱ嫌じゃん!汚いのは!!
っというわけで、本日も暇つぶしを兼ねて釣り場へ向かっているのであります。
本日の現場は【秘密の花園2】
3月も中旬に入ったけどまだ風が冷たくて、寒さと花粉症で鼻水も風に吹かれながら愛車を漕ぐこと40分。
しばらくぶりにやってきた【秘密の花園2】
当然、こんな頓珍漢な時期にハゼ釣り人は皆無だ。
今現在は干潮の時間帯で、大潮だから潮がドン引きしている。
ド干潮の時間でござる
ハゼ釣りならば、全く期待できないこの状況。
「グッジョブ!いい頃合いだで…」
オッサンは、大潮の干潮時間のこの状況に合わせ、わざわざこんな辺境の穴釣り場へやって来たのである。
取り出しましたるは、平型のアイススクレーパーと丸パイプ。
両方とも会社に転がってたんだけど、丸パイプは仕事の関係上、ソコにあるのは理解できるが、平型のアイススクレーパーは何であったのか分からじ。
オッサンがこの会社に入った時には既に転がっていたから、かなりの年代物には違いない。
他にも、でかい氷ノコギリもあったから、何か氷関係でもやってたのかかな?
まぁ、よ〜分からん会社である。
年代物のアイススクレーパーと丸パイプ
「さて、久しぶりに運動でもすっかな!」
本日、オッサンが何しに来たのかというと、穴釣り場の穴をキレイにしにやってきたのでした。
ハゼの穴釣り場の穴廻りの岩には、牡蠣やらフジツボやらの貝がビッシリ張り付いてて、放って置くとその貝で穴が塞がったりするし、貝に仕掛けが根掛かったりして邪魔になる。
別に貝に悪気は無いと思うが、穴釣り師にとっては百害あって一利なし!死して屍拾うものなし!なのである。
広い面にはアイススクレーパーでカキカキ!細い箇所では丸パイプでカキカキ!
平らな広い面はアイススクレーパー
狭くて細い所は丸パイプで
別にど〜でもいいことだけど、オッサンの中ではこの作業は、牡蠣を剥(か)く事から『カキカキ』とうネーミングである。
「さぁ、今日もカキカキ行っちゃおっかな〜!」というのが正しい用法である。
とてもじゃないが、この広大な釣り場のすべての穴を保全することは不可能なので、ハゼが釣れやすい箇所を重点的にカキカキ。
敵もさることながら貝の成長も早くて、わずか一年で穴がほとんど塞がったりしてしまう。
大きめの穴はまだまだ余裕があるが、狭くて小さい穴はまるっきり釣りにならなくなってしまう事もしばしば。
そして、そういう小さくて狭い穴こそ、数が釣れたり大型が出たりするから、しっかり見逃さずにカキカキ。
こんな隙間はあっという間に塞がってしまう
カキカキ後はこんな感じ
牡蠣なんて結構な確率で中身が入っているもんだから、カキカキしていると貝汁が飛んで来たりして気持ちが悪い。
まだ足元に飛び散るくらいなら我慢できるが、酷い奴になると顔まで貝汁を顔射してくる奴もいて気分が萎える。
牡蠣の中身がデロ〜ン!って出てくると、「うわ〜!」って感じ。
まだ生きてるからちょっと罪悪感に苛まれるが、”コレもハゼ釣りのため”と思って犠牲になって頂く。
まぁ、中身が下に落ちて良質な餌になり、マハゼやカニやダボハゼが食べていると思えば、少しは罪も軽くはなるかな…
しかし、あんなのを某大陸系の人間は獲って食べているんだから恐ろしい。
以前、真夏にハゼ釣りしていると、明らかに大陸の人種がそこら辺に張り付いている牡蠣をほじって、中身だけを集めていた。
ソレを入れる容器が、クーラボックスとかならまだ理解できるが、ただの透明なペットボトルで、真夏なもんだから中の海水はもうお湯になっていたと思う。
「アレって食べるんだよな…」
「火を通せば大丈夫!とか以前の問題だよな…」
「アッチの人ってこの世に怖いもん無しだな…」
そう思いながら見ていた事を思い出す。
恐ろしいことに、このカキカキ作業は2時間ほどでたった20mくらいしか進まない、心がブチ折れる重労働。
牡蠣もフジツボも簡単には剥がれないもんで、力を入れてカキカキしているもんだから、腰は痛くなるわ、腕はもうパンパンで全身汗だくだ。
「心身ともに疲れ切ったので、そろそろ帰ろう…」と思ってたら、S氏が現れた。
どうやら、この間違った時期にハゼ釣りに来たらしい。
S氏はこの【秘密の花園2】の主(ぬし)で、季節に関係なく一年中ハゼ釣りしている変態釣り師。
念の為、「こんな所で何してんの?」と聞くと、案の定「ハゼ釣りに来ました!」と、こちらの違和を全く気にしない力強いお返事。
「釣れんの?」には「本日の目標は1匹です!」とのこと。
なんでも、先週は2匹釣り上げたらしい。
その後は、釣れる状況やら釣れる穴はどこか等を力説されたんだけど、右から左で全く聞いちゃ〜いないオッサン。
S氏曰く「もうちょっとすると上げ潮になり、30分限定のチャンスタイム!」だそうな。
疲れ切ってたし、全く興味なしでオッサンはそそくさと撤退。
【秘密の花園2】を後にしたのでした。
優に500mはあろうかというこの釣り場すべての穴を保全することは出来ないので、オッサンがいつもやっているエリアだけを重点的に作業するのみ。
別に世のため人のためなんて想いは微塵もなくて、あくまで自分だけのための作業。
カキカキやってると「あ!ここの奥ってこんなふうになってたんだ!」とか、「お!ここは塞がってたけど、開通したから絶対釣れる穴になるな」とか、その釣り場にどんどん詳しくなる。
基本的に釣れる人って、その釣り場に詳しいんですよ。
どこで釣れやすいか?をいつも把握している。
この作業もその一環だし、釣りの選択肢が広がるのは次の釣りが楽しみになる。
別に穴釣り場に限らず、いつもの夏のハゼ釣り場でのゴミ拾いだって、潮が思いっきり引いた時とかに水底の状況を把握して、釣りの作戦を立てたり出来ます。
このように釣りとは、釣り糸を垂れるだけではないということ。
よく釣り場の常連が、オフシーズンや釣りにならない時間帯に用事もなく釣り場をウロウロしているのも、釣りが出来ない寂しさを紛らわせているのではない。
まぁ、アンニュイな気分も混ざっているのかも知れんが、その釣り場の地形を確認しに来ているのが主な理由だと思う。たぶん…
実は今回のこのテーマはブログに載せないつもりでいました。
童話の『こびとのくつや』みたいに思われるのも心外だし、オッサンが釣る秘密を暴露しているようで自分にメリットが無いからです。
このように、オッサンは自分にメリットがないと動こうとしない打算的でゲスな人間なので、皆さんもお気をつけくださいね。
最近、ここら地元のハゼ釣り仲間の集まりがあり、その場ではオッサンが目の敵にされている雰囲気。
「なんでコイツは釣るのか?」
一口に釣りと言っても、海、湖沼、渓流など釣り場や釣りモノによって全然違うし、例え釣りモノが同じでも、ルアーや餌釣り、仕掛けとかによっても違ってて、ちょっとでも違うと全く意気投合しないのが釣りの話題。
ところが、この集まりは同じ釣り場で同じ釣り方をやっているハゼ釣り仲間。
しかも全員がかなりの手練れなもんだから、初心者程度には全く理解できない、かな〜りディープな内容になるのは否めない。
もうね!このレベルになると、仕掛けやら釣り方なんて上っ面で表面的なお話では納得してくれないんですよ。
というわけで、釣り場の雰囲気とか魚の気配とかの話になってくるんだけど、ソレって説明のしようがないじゃん!
このブログでも、文字で表現できることなんて限られてて、ソレ以上の事になると説明のしようがないんです。
「一番大切なことは目には見えない。心で見ないとね。」とは『星の王子さま』に出てくる有名な一説。
その場のオッサンとしては、このセリフを言った時のキツネの心境だった。
たぶん、あの場でこのリフを言ったら「っざけんな!ボケ〜!」と酔っぱらい達にサンドバックにされただろうて。
っというわけで、釣れる理由である釣り場の保全活動を初めて文字にしてみたんだけど、たぶんまた「っざけんな!んなもんやってられっか!」と餃子にされるのがオチだろうて。
さて、今日の作業が日の目を見るのが【秘密の花園2】で穴釣りが始まる約8ヶ月後ってところ…
そのために種を撒いているのですが、貝の成長は早いので、その頃にはまた穴が埋まっているかもね…
まぁ、それもまた良しということで。